(2017-10-02)2017年までの台湾現代デザイン教育の60年間、それはデザインの本質に立ち戻り再びそれを高める期間であった。再び良き概念とプランを元に「デザイン」によって表現する必要があり、その良きデザインは社会をより良くし、そして世界におけるデザインの構図を覆すものである。
(2017-10-02)2017年までの台湾現代デザイン教育の60年間、それはデザインの本質に立ち戻り再びそれを高める期間であった。再び良き概念とプランを元に「デザイン」によって表現する必要があり、その良きデザインは社会をより良くし、そして世界におけるデザインの構図を覆すものである。
「人権デザイン」はデザイナーの基本的な自覚と義務である。デザインは鷹のごとく、その広くて集中した視野は熊をも倒し、狼をも崖から落とすに十分事足りるものである。デザインは弱い者と乏しい者とをあわれみ、乏しい者のいのちを救う。
スイスに生まれ、フランスで活躍したル・コルビジェ(Le Corbusier, 1887-1965)は、「機能への要求」を満足させることが建築デザインの第一の任務であると強調している。そして、現代デザインの基本は、いかに機能主義を超えてより良いものにするのか、である。
2011年、台湾デザイン協会(TADA)は「デザインは政治」であると提起した。つまり、デザインが政治でないならデザインは人々のために十分に奉仕することができず、たとえ一番の弱者であっても最高のデザインを求める権利がある、と述べているこの理念は、国際デザイン協議会(ico-D:International Council of Design)会長・David Grossmanが提唱する「Good design is human rights」の考え方に図らずも一致するものであり、まるで「人権デザイン」を提言しているかのようである。
2015年ミラノ国際博覧会で起草された《ミラノ憲章(The Charter of Milan)》では「食料への権利は人間の基本的な権利であり、十分な量・安全かつ滋養豊かな食料および清潔な水へのアクセスは保証されなければならず、その欠如は人間の尊厳への侵害である」と強調している。人が地球上に生きている限り、衣食のためだけではなく、環境保護・安全・貴賎ない命の尊厳のためにはいずれもデザインが必要である。
1948年の国連総会で採択された《世界人権宣言》は来年(2018年)で70周年を迎える。1949年5月23日のドイツ連邦共和国基本法第1章第1条には「人間の尊厳の不可侵。その尊重と保障はすべての国家権力が負う義務である」と記されており、中華民国憲法第22条の「あらゆる人民におけるその他の自由及び権利は、社会秩序および公共の利益を妨げない限り、均しく憲法の保障を受ける」、と同様の趣旨を持つ。
デザインは民主国家のビジョンに必須であり、その本質は人民のためにある。オランダの哲学者・バールーフ・デ・スピノザ(Brauch De Spinoza, 1632-1677)は、国家の最終目的は人民を統治することではなく、個人が恐怖から逃れ、かつ天賦の基本的人権を有することである、と説いている。デザインはプロセスの本質となるものであり、国家より高位に位置する。デザインは人民のためだけにあるものではなく、「人」のためにより必要とされるものである。
デザインは商品とサービスに用いられるだけではない。人権においては、より合理的かつ系統的なアプローチが適しており、政府・国家のためにデザインの提言を行うものである。「デザイン」が単に経済的な手段の一つであるとすれば、その価値は大きな制限を受けるであろう。
旧約聖書《イザヤ書》に「新たな力を得、わしのように翼をはって、のぼることができる。走っても疲れることなく、歩いても弱ることはない」と記されているように、「人権デザイン」というデザインが重視されるように願っている。
(呉進生台湾デザイン協会創始者・終生会員、動脳発行人)
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